性欲が落ちる薬一覧|抗うつ薬・AGA薬・抗精神病薬・降圧薬を薬剤師が解説

性欲低下に関係する抗うつ薬・AGA薬・降圧薬を薬剤師が整理 ED

「薬を飲み始めてから性欲が落ちた」「勃起しにくい」「射精しにくくなった」——このような変化は、一部の薬で報告されています。

ただし、薬の種類が違えば調査対象や副作用の集計方法も違います。「100人中何人」という数字を薬同士で単純比較して、安全性ランキングを作ることはできません。また、うつ病、統合失調症、高血圧、糖尿病、AGAへの不安など、治療している病気や心理状態そのものが性機能に影響することもあります。

先に結論
抗うつ薬、5α還元酵素阻害薬、抗精神病薬、一部の降圧薬などには、性欲低下・ED・射精障害などの報告があります。ただし、自己判断で中止すると病状悪化や離脱症状につながる薬もあります。症状と始まった時期を記録し、処方した医師または薬剤師へ相談してください。

この記事では、泌尿器科門前薬局での勤務経験がある薬剤師が、性機能への影響が話題になりやすい薬を、公的資料と査読論文をもとに整理します。

性欲低下・ED・射精障害は別の症状

症状 主な変化
性欲低下 性的な関心や性行為への意欲が低下する
ED(勃起障害) 勃起しにくい、硬さが不十分、維持しにくい
射精障害 射精が遅い、射精できない、精液量が減ったと感じる
オーガズムの変化 快感が弱い、オーガズムに達しにくい

「性欲はあるが勃起しない」「勃起はできるが射精できない」など、症状は別々に起こります。医師へ相談するときは、どの段階に困っているかを分けて伝えることが大切です。

性機能への影響が報告されている主な薬

薬のグループ 報告される主な変化 重要な注意
抗うつ薬 性欲低下、ED、射精遅延、オーガズムの変化 急な中止・飲み飛ばしを避ける
AGA治療薬
フィナステリド・デュタステリド
リビドー減退、勃起機能不全、射精障害、精液量減少など 別試験の数字から優劣を決めない
抗精神病薬 性欲低下、ED、射精・オーガズムの変化 病気自体や高プロラクチン血症など複数の要因がある
降圧薬 一部の薬でEDとの関連が検討されている 高血圧自体もEDの原因。自己中止しない
前立腺肥大症治療薬 射精量の減少、射精時に精液が出ないなど EDや性欲低下とは異なる場合がある

この表は「必ず起こる薬」の一覧ではありません。薬剤名、用量、治療している病気、年齢、併用薬などで状況は変わります。

抗うつ薬:性欲低下・ED・射精遅延

SSRIやSNRIなどでは、性欲低下、勃起しにくさ、射精遅延、オーガズムの変化が報告されています。一方、うつ病や不安症そのものでも同じ症状が起こるため、薬だけが原因とは限りません。

レクサプロ、イフェクサーSR、サインバルタ、トリンテリックスなどの違いと、医師への伝え方は、抗うつ薬による性欲低下・ED・射精障害で詳しく解説しています。

抗うつ薬を自己判断で急に中止したり、性行為の日だけ抜いたりしないでください。離脱症状や病状悪化につながる可能性があります。

フィナステリド・デュタステリド:AGA治療薬

フィナステリドとデュタステリドは、テストステロンからDHT(ジヒドロテストステロン)への変換に関わる5α還元酵素を阻害する薬です。国内の電子添文には、リビドー減退、勃起機能不全、射精障害、精液量減少などが記載されています。

また、服用中止後も性機能に関する症状が続いた報告があります。頻度や因果関係を個人レベルで断定することはできませんが、気になる変化は処方医へ伝えてください。

フィナステリドの数字はどう読む?

国内の48週間試験では性欲低下などが報告されていますが、個別症状の割合は「性機能に問題がなかった人の割合」を直接示すものではありません。「100人中約1人だから残り99人はすべて問題ない」とは言えず、試験条件、症状の聞き方、服用期間も確認する必要があります。

デュタステリドはフィナステリドより副作用が多い?

デュタステリドの国内長期試験では、勃起不全、リビドー減退、射精障害などが報告されています。しかし、対象者や試験設計が異なるフィナステリドの試験と数値をそのまま比べて、「こちらのほうが危険」と順位づけすることはできません。

服用中の不安や妊活への影響については、フィナステリドで後悔しやすいケースと副作用も参考にしてください。

フィナステリド服用中に自殺念慮・自殺企図などが現れた場合は、電子添文の指示に従って服用を中止し、速やかに医師へ連絡してください。緊急性がある場合は119などの支援を利用してください。

抗精神病薬:高プロラクチン血症にも注意

抗精神病薬による性機能の変化には、ドパミン受容体への作用、プロラクチン上昇、鎮静、体重や代謝の変化などが関係すると考えられています。リスペリドンやパリペリドンなどは高プロラクチン血症との関連が知られていますが、影響は薬剤・用量・個人によって異なります。

性欲低下やEDだけでなく、乳汁が出る、乳房が張る、月経異常などがある場合は、処方医へ伝えてください。精神症状の再燃を防ぐため、自己判断での減量・中止は避けます。

降圧薬:高血圧そのものとの区別が重要

一部のβ遮断薬、サイアザイド系利尿薬、中枢性交感神経抑制薬などとEDの関連が検討されています。ただし、研究結果は一様ではなく、同じ薬効群でも薬剤によって特徴が異なります。

高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などによる血管障害もEDの原因になります。そのため、「降圧薬を飲み始めたから薬が原因」とは断定できません。降圧薬を急に中止すると血圧上昇や心血管イベントの危険があるため、必ず処方医へ相談してください。

前立腺肥大症の薬:射精の変化が中心の場合もある

シロドシンやタムスロシンなどのα1遮断薬では、射精時に精液が出ない、精液量が減るといった変化が起こることがあります。これは性欲低下やEDとは別の症状で、オーガズムが保たれる場合もあります。

妊活中は重要な情報になるため、症状がある場合は処方医へ相談しましょう。

射精の感覚はあるのに精液が出ない場合や、シロドシン・タムスロシンを服用中の変化は、精液が出ない原因と薬の影響で詳しく説明しています。

薬が原因か考えるときの5つの確認項目

  1. 薬の名前・量と、開始または増量した日
  2. 性欲・勃起・射精・オーガズムのどれが変化したか
  3. 服用前にも同じ症状があったか
  4. 治療中の病気、睡眠、気分、体重に変化があるか
  5. ほかの処方薬・市販薬・サプリを使っているか

薬の開始・増量と症状の時期が近いことは手がかりになりますが、それだけで副作用と自己診断することはできません。

医師・薬剤師への伝え方

「この薬を始めてから性欲が落ちたように感じます」

「性欲はありますが、勃起を維持しにくくなりました」

「勃起はできますが、射精できないことが増えました」

「治療は続けたいので、副作用かどうかと変更できる方法を相談したいです」

医師は、病気の安定度、治療効果、ほかの原因を確認しながら、経過観察、用量や薬剤の見直し、症状に応じた治療などを検討します。

EDの原因や受診目安はEDとは?原因・症状・治療法で、処方薬の違いはED治療薬の比較で解説しています。

よくある質問

薬をやめれば元に戻りますか?

改善する場合はありますが、原因や経過は一様ではありません。中止後も症状が続く報告がある薬もあります。自己中止せず、処方医と対応を相談してください。

性機能への影響が少ない薬へ変更できますか?

変更を検討できる場合はありますが、治療効果、病状悪化のリスク、ほかの副作用も含めた判断が必要です。薬効群だけで自己選択せず、困っている症状を具体的に伝えましょう。

ED治療薬を使えば解決しますか?

勃起障害が中心の場合は選択肢になることがありますが、性欲低下、射精障害、感覚の変化まで一律に改善する薬ではありません。禁忌薬もあるため、必ず医師の診察を受けてください。

まとめ

  • 抗うつ薬、AGA治療薬、抗精神病薬、一部の降圧薬などで性機能の変化が報告されている
  • 薬群ごとに調査条件が違うため、「100人中何人」の横断比較やランキングは避ける
  • 性欲低下、ED、射精障害、オーガズムの変化を分けて伝える
  • 治療している病気や身体疾患も性機能に影響する
  • 自己判断で中止せず、薬名・開始時期・症状を処方元へ相談する

参考資料

本記事は一般的な医療情報の提供を目的としています。診断や治療の代わりになるものではありません。薬の変更・減量・中止は必ず主治医へ相談してください。

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