性行為の頻度と夫婦満足度の関係|多ければ仲良し?薬剤師が論文から解説

夫婦関係

「最近、そういう時間が減ったな…」

「月1回もないけど、うちは大丈夫なんだろうか」

「仲の良い夫婦って、やっぱり回数も多いの?」

こうした悩みを持つ方は少なくありません。

特に結婚生活が長くなると、仕事、育児、疲労、加齢、体調変化などによって、性行為の頻度は自然に変化します。

男性側は、

「もう魅力がなくなったのかな」

と感じることがあります。

一方で、女性側は、

「疲れているだけなのに責められるのがつらい」

と感じていることもあります。

しかし、夫婦関係の研究を見ると、「回数が多いほど幸せ」という単純な話ではないようです。

実際には、性行為の頻度だけでなく、お互いが納得できているか、性について安心して話し合えるかの方が、夫婦満足度と深く関係している可能性があります。

この記事では、性行為の頻度と夫婦満足度の関係について、論文や国内調査をもとに、薬剤師の視点から解説します。

この記事の結論

  • 性行為の頻度と夫婦満足度には関連がある
  • ただし、多ければ多いほど幸せという単純な関係ではない
  • 幸福感との関連は週1回程度で頭打ちになる可能性がある
  • 本当に大切なのは「回数」より「話しやすさ」
  • セックスレスでも仲の良い夫婦はいる
  • EDや性欲低下には、体調や薬が関係していることもある

実は「週1回」で幸福感は頭打ちになる可能性がある

「回数が多い夫婦ほど仲が良い」

そう思われがちですが、研究結果は少し違います。

Muiseらは3万人以上を対象に、性行為の頻度と幸福感の関係を調査しました。

その結果、性行為の頻度が高いほど幸福感も高くなる傾向はあるものの、その関連は週1回程度で頭打ちになることが報告されています。

つまり、毎日性行為をすればするほど夫婦満足度が上がる、というわけではありません。

もちろん、これは「週1回が正解」という意味でもありません。

年齢、仕事、育児、体調、価値観。

夫婦によって理想の頻度は違います。

ポイント

平均に合わせる必要はありません。大切なのは、夫婦がお互いに納得できていることです。

日本の夫婦はどれくらい性行為をしているのか

「うちだけ少ないのでは?」

と不安になる方もいるかもしれません。

しかし、日本ではセックスレス傾向の夫婦は珍しくありません。

国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査では、妻50歳未満の夫婦のうち、過去1か月以内に性交があった割合は37.9%と報告されています。

また、ジャパン・セックス・サーベイ2024では、男女ともに6割以上が1か月以上性交渉がない状態に該当すると報告されています。

「少ない=異常」ではありません。

ただし、どちらか一方がつらい思いをしている場合は、回数の問題ではなく、夫婦間のコミュニケーションの問題として考える必要があります。

本当に大切なのは「回数」より「話しやすさ」

この記事で一番伝えたいことはここです。

夫婦満足度に関係するのは、性行為の回数だけではありません。

2022年のメタ解析では、性的コミュニケーションは、関係満足度や性生活満足度と正の関連があることが示されています。

つまり、重要なのは、

「月に何回するか」

だけではなく、

性について安心して話せるかどうかです。

例えば、次のような会話です。

  • 「最近疲れてない?」
  • 「無理しなくていいよ」
  • 「最近そういう気分になれない?」
  • 「責めたいわけじゃなくて、少し寂しいんだ」
  • 「どうしたらお互いに負担が少ないかな?」

こうした会話ができる夫婦は、問題が大きくなりにくいと考えられます。

逆に、性の話題を避け続けると、

  • 拒否された
  • 愛されていない
  • 魅力がなくなった
  • もう必要とされていない

という誤解が積み重なってしまうことがあります。

セックスレスの問題は、回数そのものよりも、話し合えないことによって深刻化することが少なくありません。

性行為後の満足感は48時間続く可能性がある

性行為が夫婦関係に影響する理由の一つに、「余韻」があります。

Meltzerらの研究では、性行為後の性的満足感が約48時間続く可能性が示されています。

これは「sexual afterglow」と呼ばれます。

この余韻が強い夫婦ほど、長期的な関係満足度も高い傾向がありました。

ポイント

性行為は単なる行為ではなく、安心感や親密さを保つ役割を持つ可能性があります。

ただし、ここでも大切なのは回数だけではありません。

義務感や我慢による性行為では、満足感や安心感につながりにくい可能性があります。

セックスレスでも仲の良い夫婦はいる

ここは誤解されやすいポイントです。

性行為が少ないからといって、必ず夫婦関係が悪いわけではありません。

実際に、セックスレスでも仲良く暮らしている夫婦はいます。

重要なのは、夫婦の双方がその状態に納得しているかです。

たとえば、どちらも性行為をあまり重視しておらず、会話や生活の安心感で満足している夫婦であれば、大きな問題にならないこともあります。

一方で、一方は求めているのに、もう一方が避け続けている場合は注意が必要です。

その場合、問題は「回数が少ないこと」ではなく、寂しさや拒否された感覚が積み重なることにあります。

夫婦で性欲の差があるときに起こりやすいこと

夫婦関係でよくあるのが、性欲の差です。

片方は月に数回を望んでいる。

もう片方は数か月に1回でもよい。

この差があると、どちらか一方が我慢する状態になりやすくなります。

立場感じやすいこと
求める側拒否された、愛されていない、魅力がなくなった
求められる側プレッシャー、責められている、義務感がつらい

このときに大切なのは、相手を責めることではありません。

「なんでしてくれないの?」

ではなく、

「最近どう感じている?」

と聞くことです。

性行為の頻度は、体調、睡眠、ストレス、ホルモン、薬の影響、育児疲れなどに左右されます。

相手の気持ちだけの問題と決めつけない方がよいでしょう。

薬剤師として伝えたいこと

性行為の頻度について悩む夫婦では、本人たちが「気持ちの問題」と考えていることが多いです。

しかし薬剤師として見ると、体調や薬の影響が隠れていることもあります。

例えば、男性では以下のような要因が関係することがあります。

  • 睡眠不足
  • ストレス
  • ED
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 抗うつ薬
  • AGA治療薬
  • 過度な飲酒

女性では、以下のような要因も考えられます。

  • 育児や家事による疲労
  • 性交痛
  • ホルモン変化
  • 更年期
  • 婦人科疾患
  • 睡眠不足
  • 心理的ストレス

薬剤師として伝えたいこと

「愛情がなくなった」とすぐに決めつける前に、体調、睡眠、ストレス、薬、痛み、生活リズムも確認してみてください。

特に、急に性欲が落ちた、ED症状が出てきた、性交痛がある、薬を始めてから性機能が変化したという場合は、医師や薬剤師に相談する価値があります。

夫婦満足度を高めるために大切な3つのこと

1. 回数を責めない

性行為の頻度を話し合うときに、

「少なすぎる」

「普通はもっとする」

と責めると、相手は防御的になります。

大切なのは、回数を責めることではなく、自分の気持ちを伝えることです。

例えば、

「もっとしてほしい」

よりも、

「最近少し寂しく感じている」

と伝える方が、相手は受け止めやすくなります。

2. 性行為以外のスキンシップを増やす

性行為だけをゴールにすると、相手にプレッシャーがかかることがあります。

手をつなぐ。

隣に座る。

肩に触れる。

ハグをする。

こうしたスキンシップが戻るだけでも、夫婦の距離が近づくことがあります。

特にセックスレス期間が長い夫婦では、いきなり性行為を目指すより、安心できる接触を増やす方が現実的です。

3. 体調や薬の影響も確認する

性欲低下やEDがある場合、睡眠不足、ストレス、生活習慣病、服用薬の影響も確認しましょう。

特に、以下のような場合は注意が必要です。

  • 急に性欲が落ちた
  • ED症状が出てきた
  • 性交痛がある
  • 抗うつ薬を始めた
  • AGA治療薬を始めた
  • 生活習慣病を指摘されている

気になる場合は、一人で抱え込まず、医師や薬剤師に相談してください。

よくある質問

Q. 夫婦の性行為は週何回が理想ですか?

研究では、カップルにおける性行為頻度と幸福感の関連は週1回程度で頭打ちになる可能性が示されています。

ただし、週1回が全員の正解ではありません。

大切なのは、夫婦の双方が納得しているかどうかです。

Q. 月1回以下だと夫婦関係は悪いですか?

必ずしも悪いとは言えません。

双方が納得していて、会話やスキンシップがあり、関係に満足しているなら大きな問題にならないこともあります。

ただし、一方が寂しさや不満を抱えている場合は、早めに話し合うことが大切です。

Q. セックスレスでも仲良し夫婦でいられますか?

可能です。

ただし、性行為がないことをどちらか一方が我慢している場合は、後から不満が大きくなることがあります。

セックスレスかどうかより、「話し合える関係かどうか」が重要です。

Q. 夫婦で性欲の差がある場合はどうすればいいですか?

まず相手を責めないことです。

「なぜしてくれないの?」ではなく、

「最近少し寂しく感じている」

「あなたはどう感じている?」

という形で話す方が、関係が悪化しにくくなります。

Q. EDや性欲低下がある場合、パートナーに伝えるべきですか?

可能であれば伝えた方がよいです。

隠し続けると、相手は「自分に魅力がないのでは」と誤解することがあります。

EDや性欲低下は、睡眠不足、ストレス、生活習慣病、薬の影響でも起こります。

恥ずかしいことではなく、体調のサインとして共有してもよい問題です。

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まとめ

性行為の頻度と夫婦満足度には関連があります。

しかし、研究を見ると、「性行為が多いほど幸せ」という単純な話ではありませんでした。

大切なのは、回数よりも次の4つです。

  • お互いが納得していること
  • 性について話し合えること
  • 無理をしないこと
  • スキンシップや安心感があること

夫婦の形に正解はありません。

他人と比べる必要もありません。

「平均」よりも、ふたりが心地よく過ごせているか

それが、長く続く夫婦関係のヒントなのかもしれません。

参考文献

  • Muise A, Schimmack U, Impett EA. Sexual Frequency Predicts Greater Well-Being, But More is Not Always Better. Social Psychological and Personality Science. 2016;7(4):295-302.
  • Mallory AB, Stanton AM, Handy AB, et al. Dimensions of Couples’ Sexual Communication, Relationship Satisfaction, and Sexual Satisfaction: A Meta-Analysis. Journal of Family Psychology. 2022;36(3):358-371.
  • Meltzer AL, McNulty JK, Jackson GL, Karney BR. Quantifying the Sexual Afterglow: The Lingering Benefits of Sex and Their Implications for Pair-Bonded Relationships. Psychological Science. 2017;28(5):587-598.
  • 国立社会保障・人口問題研究所. 第16回出生動向基本調査.
  • 日本家族計画協会. ジャパン・セックス・サーベイ2024.
  • World Health Organization. Sexual Health.
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