「日本人夫婦って、平均どれくらい性行為をしているの?」
「うちは月1回もないけど、少なすぎるのかな」
「年齢とともに減るのは普通?」
夫婦の性行為の頻度は、なかなか人には聞きにくいテーマです。
ネットで検索しても、極端な体験談や不安をあおる情報が多く、かえって不安になる方もいるかもしれません。
結論からいうと、日本人夫婦の性行為頻度は決して高くありません。
国立社会保障・人口問題研究所の調査では、妻55歳未満の夫婦で、過去1か月以内に夫婦間で性交があった割合は37.9%と報告されています。
つまり、過去1か月に性行為がなかった夫婦も少なくありません。
ただし、ここで大切なのは、「平均より少ない=夫婦関係が悪い」とは限らないということです。
この記事では、日本人夫婦の平均的な性行為頻度、年代別の傾向、セックスレスの実態、幸福度との関係について、論文や調査データをもとに薬剤師の視点から解説します。
この記事の結論
- 日本人夫婦の性行為頻度は、全体として低下傾向にある
- 公的調査では、妻55歳未満の夫婦で過去1か月以内に性交があった割合は37.9%
- 民間調査では、結婚相手との性行為頻度は月平均1〜2回程度とするデータもある
- 年齢、育児、仕事、体調、ストレスで頻度は大きく変わる
- 大切なのは「平均回数」ではなく、夫婦が納得できているか
- 幸福度との関係では、週1回程度で頭打ちになる可能性が報告されている
日本人夫婦の平均的な性行為頻度はどれくらい?
まず、日本人夫婦の性行為頻度を考えるうえで重要なのが、公的調査と民間調査の違いです。
公的調査では「過去1か月以内に性交があったか」という形で調べられることが多く、民間調査では「月に何回くらいか」という回数ベースで調べられることがあります。
国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査では、妻55歳未満の夫婦において、過去1か月以内に夫婦間で性交があった割合は37.9%でした。
一方で、コンドームメーカーによる大規模調査では、結婚相手との1か月あたりの性行為回数は平均1.7回とされています。
| 調査・データ | 主な結果 | 読み取り方 |
|---|---|---|
| 第16回出生動向基本調査 | 妻55歳未満の夫婦で過去1か月以内に性交あり37.9% | 約6割は過去1か月に性交なし |
| ジャパン・セックス・サーベイ2024 | 男女とも6割以上が1か月以上性交渉なし | セックスレス傾向は珍しくない |
| 相模ゴム工業の調査 | 結婚相手との月平均回数1.7回 | 月1〜2回程度が一つの目安 |
ポイント
「平均回数」は、性行為がある夫婦とまったくない夫婦の両方を含んだ数字です。そのため、平均だけを見て「自分たちは異常」と判断する必要はありません。
年代別に見ると、性行為頻度はどう変わる?
性行為の頻度は、年齢とともに変化します。
20代では比較的多く、30代以降は仕事、育児、睡眠不足、ストレスなどの影響で減りやすくなります。
40代以降になると、体調、ホルモン変化、生活習慣病、ED、更年期なども関係してきます。
| 年代 | よくある変化 | 薬剤師視点でのポイント |
|---|---|---|
| 20代 | 比較的頻度は多め | 避妊・性感染症対策も重要 |
| 30代 | 仕事・妊活・育児で減りやすい | 睡眠不足、産後の体調変化に注意 |
| 40代 | 夫婦差が大きくなる | ED、性欲低下、ストレスが関与しやすい |
| 50代 | 頻度より満足度が重要になる | 更年期、生活習慣病、薬の影響も確認 |
| 60代以降 | 性行為以外の親密さも重要 | 無理のないスキンシップを重視 |
年齢とともに性行為の頻度が変わること自体は自然です。
問題は、回数が減ったことそのものではなく、どちらか一方が寂しさや不満を抱えているかどうかです。
セックスレスの定義とは?
日本では「セックスレス」という言葉がよく使われます。
一般的には、日本性科学会の定義として、特殊な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1か月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合と説明されます。
つまり、単に「月1回未満」だからすぐ問題、という意味ではありません。
夫婦の双方が納得していて、関係に満足しているなら、大きな問題にならないこともあります。
注意したいケース
- 一方だけが強い不満を抱えている
- 拒否された側が「愛されていない」と感じている
- 性の話題をまったく話し合えない
- EDや性交痛など体の問題を放置している
- 夫婦関係全体の会話が減っている
「平均より少ない」と夫婦関係は悪い?
ここが多くの読者が一番気になる部分だと思います。
結論として、平均より少ないからといって、夫婦関係が悪いとは限りません。
性行為の頻度は、夫婦によって大きく異なります。
週に数回でも不満がある夫婦もいれば、数か月に1回でも穏やかに暮らしている夫婦もいます。
重要なのは、回数そのものより、次の3つです。
| 大切な視点 | 内容 |
|---|---|
| 納得感 | 双方がその頻度に納得しているか |
| 話しやすさ | 性について安心して話せるか |
| 親密さ | 性行為以外のスキンシップや会話があるか |
「平均より少ない」ことよりも、「話し合えない」ことの方が、夫婦関係には大きな影響を与える可能性があります。
週1回が理想?幸福度との関係
性行為の頻度と幸福度について、有名な研究があります。
Muiseらは、3万人以上を対象に、性行為の頻度と幸福感の関係を調べました。
その結果、カップルでは性行為の頻度が高いほど幸福度も高い傾向がありました。
しかし、その関連は週1回程度で頭打ちになることが報告されています。
つまり、週1回より少ない場合は、頻度が増えることで幸福感と関連しやすい一方、週1回を超えても幸福度がどんどん上がり続けるわけではない、ということです。
薬剤師から一言
「週1回が正解」という意味ではありません。大切なのは、夫婦にとって無理なく続けられる頻度かどうかです。
本当に大切なのは「回数」より「話しやすさ」
2022年のメタ解析では、性的コミュニケーションは、関係満足度や性生活満足度と関連することが報告されています。
つまり、夫婦関係で大切なのは、何回しているかだけではありません。
性について安心して話せるかどうかが重要です。
例えば、次のような会話です。
- 「最近疲れてない?」
- 「無理しなくていいよ」
- 「最近、少し寂しく感じている」
- 「どうしたらお互いに負担が少ないかな?」
- 「痛みや体調の問題はない?」
こうした会話ができる夫婦は、回数の違いがあっても、問題が深刻化しにくいと考えられます。
薬剤師として伝えたいこと
薬剤師として相談を受けていると、性行為の頻度が減った背景に、体調や薬の影響が隠れていることがあります。
例えば、男性では以下のような要因が関係します。
- 睡眠不足
- 仕事のストレス
- ED
- 糖尿病
- 高血圧
- 抗うつ薬
- AGA治療薬
- 男性ホルモン低下
女性では、以下のような要因も関係します。
- 育児疲れ
- 睡眠不足
- 性交痛
- 産後のホルモン変化
- 更年期
- 婦人科疾患
- 心理的ストレス
薬剤師として伝えたいこと
性行為の頻度が減ったからといって、すぐに「愛情がなくなった」と決めつけないでください。睡眠、ストレス、薬、痛み、生活習慣病が関係していることもあります。
夫婦の性行為頻度が合わないときの対処法
1. 平均と比べすぎない
平均回数は参考にはなりますが、正解ではありません。
夫婦の年齢、体調、仕事、育児、価値観によって、ちょうどよい頻度は違います。
2. 「回数」ではなく「気持ち」を伝える
「もっとしてほしい」だけでは、相手にプレッシャーを与えることがあります。
「最近少し寂しく感じている」
「もう少し触れ合う時間があるとうれしい」
という伝え方の方が、話し合いやすくなります。
3. 性行為以外のスキンシップを増やす
手をつなぐ。
隣に座る。
肩に触れる。
ハグをする。
こうしたスキンシップが戻るだけでも、夫婦の距離が近づくことがあります。
4. 体調や薬の影響を確認する
急に性欲が落ちた、ED症状が出た、性交痛がある、薬を始めてから変化した場合は、医師や薬剤師に相談する価値があります。
よくある質問
Q. 日本人夫婦の平均的な性行為頻度はどれくらいですか?
調査によって異なりますが、公的調査では妻55歳未満の夫婦で過去1か月以内に性交があった割合は37.9%でした。民間調査では、結婚相手との月平均回数を1〜2回程度とするデータもあります。
Q. 月1回以下だと少なすぎますか?
必ずしも少なすぎるとは言えません。双方が納得していて、関係に満足しているなら、大きな問題にならないこともあります。
Q. セックスレスでも仲良し夫婦でいられますか?
可能です。ただし、どちらか一方が我慢している場合は、寂しさや不満が積み重なることがあります。
Q. 週1回が理想ですか?
研究では、性行為頻度と幸福度の関連は週1回程度で頭打ちになる可能性が示されています。ただし、週1回が全員にとっての正解ではありません。
Q. 年齢とともに性行為が減るのは普通ですか?
普通に起こります。仕事、育児、睡眠不足、ストレス、ホルモン変化、生活習慣病、薬の影響などが関係します。
Q. 性欲の差がある場合はどうすればいいですか?
責めるのではなく、まず気持ちを共有することが大切です。「してくれない」ではなく、「寂しく感じている」と伝える方が話し合いやすくなります。
まとめ
この記事のまとめ
- 日本人夫婦の性行為頻度は全体として高くない
- 妻55歳未満の夫婦で過去1か月以内に性交があった割合は37.9%
- 月1〜2回程度という民間調査データもある
- 平均より少ないから夫婦関係が悪いとは限らない
- 幸福度との関係では、週1回程度で頭打ちになる可能性がある
- 大切なのは、回数よりも納得感と話しやすさ
「平均回数」よりも大切なのは、ふたりが納得できているかどうかです。
他人の夫婦と比べる必要はありません。
性行為の頻度が減ったときは、愛情がなくなったと決めつけず、睡眠、ストレス、体調、薬、痛み、夫婦の会話まで含めて考えてみてください。
夫婦の形に正解はありません。
大切なのは、ふたりが安心して話し合える関係を作ることなのかもしれません。
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参考文献
- 国立社会保障・人口問題研究所. 第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)結果の概要. 2021.
- 一般社団法人日本家族計画協会・ジェクス株式会社. ジャパン・セックス・サーベイ2024.
- 相模ゴム工業株式会社. ニッポンのセックス.
- Muise A, Schimmack U, Impett EA. Sexual Frequency Predicts Greater Well-Being, But More is Not Always Better. Social Psychological and Personality Science. 2016;7(4):295-302.
- Mallory AB, Stanton AM, Handy AB, et al. Dimensions of Couples’ Sexual Communication, Relationship Satisfaction, and Sexual Satisfaction: A Meta-Analysis. Journal of Sex Research. 2022.

